ショッキングピンクの傘

月曜から引いている風邪がまだ治らない。

夫は出張中なので、キシキシと痛む身体をなんとか動かして保育園の送り迎えをする。幸いちょうどいいバスのルートがあって助かった。

帰りのバスは少々混んでいて、「母ちゃんの抱っこで座りたい」と言う息子を見てサラリーマンが席を譲ってくれた。無言の優しさが沁みる。

途中、ガタイのいいおじさんが私たちの隣りに座った。同じバス停で降りるようで、おじさんの後ろを歩き降車口へ向かう。

そのとき、おじさんの足が不自然な動きをした。

一人で乗っていた小学生の女の子。パステルカラーのランドセルに、ショッキングピンクの傘。その女の子の傘を、おじさんが「げしげし」と蹴っていたのだった。

おそらく、おじさんは「傘が通路に出ていて邪魔だ」と言いたかったんだと思う。大人なんだから口で言えと思うが、少女に気づかれるか気づかれないかくらいの微妙な動きで、自分の鬱憤を晴らしているように見えた。

実際のところ、傘は全然邪魔になるほどはみ出してはいなかったけれど、おじさんに「げしげし」された少女はそっと傘を引っ込めていた。

私は少女がどんな気持ちでいるだろうと心配になったものの、バスを降りるまでの数秒の出来事。何もできずに降りてしまった。

あの場面を見てしまった私は、どうするのが良かったのか。なんでおじさんはあんなやり方をしちゃったのか。自分には全く関係のないことだと割り切ってしまえばそれまでだけれど、こういうときに私はいつもモヤモヤを引きずってしまう。

と、おじさんの態度に「やぁねぇ」と思った私も、帰宅するなり「iPad(YouTube)見たい!」と言う息子を鬱陶しく感じてしまい、不機嫌まるだしの態度を取ってしまった。おじさんと一緒やないか。

反省して、「ごめんね。お母ちゃん、体調が悪くて元気にお話しできないの」と(言い訳がましいし本当に体調のせいなのか?というのは置いておいて)息子に謝ったのだった。

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